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Channel: 大西英男 – IWJ Independent Web Journal

2013/04/04 「彼は事実に反した発言をしている。けしからん」衆議院総務委員会で名指し批判された孫崎享氏が、自民・大西英男議員に徹底反論 ~孫崎享氏 緊急インタビュー

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特集:TPP問題

 「彼(自民党・大西英男議員)は日本人をなめきっているのでは」。4月4日夜、岩上安身のインタビューに対し、元外務省国際情報局局長の孫崎享氏が、自民党の大西英男議員を痛烈に批判した。3月21日、2013年度のNHKの予算を審議する衆議院総務委員会で質問に立った自民党の大西英男議員が、今年1月1日にNHKで放送された「NHKスペシャル2013 世界とどう向き合うか」に出演した孫崎氏の、日中間の尖閣諸島をめぐる領有権問題に関する発言を問題視。「NHKの番組において、正しい認識とは思えないような主張を延々と続けていく。こういうことが許されていいのかどうか」と発言した。これに対して、インタビューで孫崎氏は「私は事実に基づいて話をしている」と反論。当時の外務官僚の論文などを示しながら、歴史的事実として日中間に「棚上げ」合意が存在したことを解説した。話題は他にも、TPP、新大久保を中心に行われている「排外デモ」、米軍が想定している「統合エアシーバトル構想」など、多岐に及んだ。

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2013/05/14 自民党・大西英男議員への質問とその回答

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特集:TPP問題

 本日(2013年5月14日)14時から、岩上安身が自民党の大西英男議員へインタビューを行う。

 このインタビューに先立ち、IWJは4月4日に大西議員に対して質問をし、4月11日に回答をいただいた。ここでその内容を公開したい。本日のインタビューへの予習として、昨日公開した下記の記事と合わせてご覧いただきたい。

■【IWJブログ:「TPPは憲法違反。国民主権から外資主権へ権力が移行する一種のクーデター」
~ 岩上安身による孫崎享氏緊急インタビュー】
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/78709

■以下、質問とその回答
(質問)
 2013年3月21日の衆議院総務委員会で大西議員が行なった質問について、質問のそもそもの意図は何か?

(大西議員からの回答) 
 平成25年3月21日の総務委員会の質問につきましては、NHKをはじめ報道機関の報道における公平性、正確性を確認することが質問の趣旨です。

 尖閣諸島などの領土問題、TPPのような専門知識を要する政策テーマを、報道機関が取り扱う際に、一人の専門家のみを呼ぶ、もしくは一人の専門家のみをメインキャストとして扱った場合、視聴者、読者は、一人の専門家の考え方があたかも事実のすべてであるかのような誤解、誤認をする可能性があります。

 またそのテーマにおいて一人の専門家のみを呼び、その見解を述べさせた場合、その番組ひいては報道機関そのものが、そのテーマにおいてその専門家の意見のみを是認しているものと看做される怖れもあると考えます。

 質問の中でも述べておりますが、専門家の方が複数出演し討論する形で、そのテーマの議論を深める中で、様々な方がお考えを述べることは全く否定しておりません。

 こうしたなかで、報道機関の公共性の高さ、特に公共放送であるNHKの公共性の高さを考え、NHKの姿勢を確認する質問をいたしました。

(質問)
 その衆議院総務委員会の中で、大西議員は「NEWS WEB 24 尖閣や竹島に日本はどう対応する(平成24年9月)」と「NHKスペシャル 2013 世界とどう向き合うか(平成25年1月)」という2つの番組を取り上げ、「一方的に自己の、我々にとっては正確を欠いている、正しい認識とは思えないような主張を延々と続けていく、こういう事が許されていいのかどうか」と述べられていますが、これは、孫崎氏のどの発言を指しているのでしょうか?

(大西議員からの回答)
 孫崎氏は、岡本行夫氏とのやり取りの中で、
「日中の間で、棚上げの合意というものについては確かに文書というものはない。しかし、文書にはなってないけども、政府間の合意があったことは事実である」
と発言されております。また、著書「日本の国境問題(ちくま新書)」の中でも、
「中国側は実質的には「棚上げ」を提案し、日本側はこれを受け入れている。」(75ページ)と述べられています。

 しかし、日本政府の公式見解としては、「棚上げ論」を中国側が一方的に主張(提案)することはあっても、「政府間の合意」や日本側が「受け入れている」という事実はありません。この点を「事実」として扱うのは正確性を欠き、適切ではないと考えます。

 孫崎氏が、「『棚上げ論』はあった」ということを主張すること、一つの考え方とされることは何の問題もありません。しかし、「事実」として扱うのはいかがなものでしょう。

 そもそも、「棚上げ論」に関して言えば、日本は情報公開の進んだ国であり、会談のやり取りや資料をある程度公開しています。一方で、中国は情報公開については一切行っておらず、自国の主張をするばかりです。

 こうした2国がある中で、中国の主張を事実として取り扱うには相当の論拠があってしかるべきです。

 私は、国際法上対抗力のない証拠をひたすら主張することが、中国にとっても国際社会における信用・信頼を損なうばかりで、将来的に得にならないということを、日本は示すべきであると考えます。

 孫崎氏はなぜ、文書に残っている証拠より、文書には残っていないことを「事実」としているのでしょうか。

(質問)
 2013年3月27日のご自身のブログの中で、「孫崎享氏は、自身のツイッターで、2012年7月10日に『尖閣諸島は日本固有の領土とは言えない』旨、発言しており、事実上『尖閣は中国のもの』と言っているに等しい」と述べられています。
 これは、孫崎氏のどのツイートを指しているのか?

(大西議員からの回答)
 2012年7月11日にツイートしておられます。「7月10日」としていたことは当方の確認不足でした。

(質問)
 自民党が2012年4月27日に発表した「日本国憲法改正草案」では、第21条(表現の自由)の第2項が書き加えられており、そこには「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」と記されています。

 これは、現行憲法が保障する表現の自由の枠から大きく後退していると考えざるを得ませんが、こうした内容についてどう考えるか?

(大西議員からの回答)
 党が公開しております、「日本国憲法改正草案Q&A」14ページにもあるように、「公の秩序」とは「社会秩序」のことであり、平穏な社会生活のことを意味します。個人が人権を主張する場合に、他人に迷惑を掛けてはいけないのは、当然のことです。そのことをより明示的に規定しただけであり、これにより人権が大きく制約されるものではありません。

 また、Q&A17ページにもあるように、オウム真理教に対して破壊活動防止法が適用できなかったことの反省などを踏まえ、一定の制限を加えるものです。ここでは、「公益や公の秩序を害することを目的とした」活動と規定しており、単に「公益や公の秩序に反する」活動を規制したものではありません。

 「社会秩序」を「害する」活動や結社を、一定程度制限することを明示したからと言って、「表現の自由の枠から大きく後退している」とは言えないと考えます。

 但し、表現者が萎縮することのないように、しっかりと条文の趣旨を説明していく努力をしてまいります。

(大西議員の衆議院議員総選挙時におけるTPPに対する考え方について)
 孫崎享氏や貴社の岩上安身さまは、「大西英男はTPP反対で立候補したにもかかわらず、賛成の立場に回った」という御趣旨のことをツイッター、ブログマガジン等でおっしゃっておられます。

 これは、衆議院総選挙時の毎日新聞におけるアンケートの「反対」という回答を論拠にしておられるかと存じます。このアンケートは、「賛成・反対」の2択であった上に、設問自体が「輸出入関税を原則ゼロにする環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加に賛成ですか、反対ですか」となっており、「輸出入関税を原則ゼロにするTPP」には反対であるので、「反対」と回答しております。

 大西英男は、選挙当時から現在に至るまでTPPの必要性は認めつつ、農産物などの例外品目を認めさせるべきという立場で活動しております。

< 平成24年衆議院選挙時における、TPPに関わるアンケートと大西議員の回答 >

■朝日新聞
(質問)
環太平洋経済連携協定(TPP)に参加すべきだ、という意見に賛成か?(※賛成・どちらかと言えば賛成・どちらとも言えない・どちらかと言えば反対・反対、の5つの中から選択)
(大西議員の回答)
どちらかと言えば賛成

■読売新聞
(質問)
日本は、環太平洋経済連携協定「TPP」に参加すべきだと思いますか、そうは思いませんか(※賛成・やや賛成・どちらともいえない・やや反対・反対、の5つの中から選択)。
(大西議員の回答)
やや賛成

(質問)
TPPへの参加について、あなたの考えは次のAとBどちらに近いですか。
A:海外の需要を取り込み、経済成長が望めるのでよいことだ
B:日本の農家の収入を脅かすのでよくないことだ
(大西議員の回答)
ややAに近い

■毎日新聞
(質問)
輸出入関税を原則ゼロにする環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加に賛成ですか、反対ですか(※賛成・反対、どちらかを選択)。
(大西議員の回答)
反対

(質問)
TPPの農業分野への対応について、あなたの考えに近いものを一つ選んでください。
(大西議員の回答)
コメなど可能な限り多くの例外品目を設けるべきだ

■Yahoo!みんなの政治
(質問)
TPP(環太平洋経済連携協定)交渉について、参加すべきか(※交渉に参加すべきではない・交渉に参加すべき・その他、の3つの中から選択)。
(大西議員の回答)
その他。聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉には参加すべきでない。自由貿易の推進は日本の通商政策の柱ですが、TPP交渉に際しては、可能な限り国益に即して、メリットを追求する交渉力を必要とする。

■言論NPO
(質問)
TPPへの交渉参加に対するあなたの態度を明らかにしていただけますか(※TPPの交渉に参加すべき・TPPの交渉に参加すべきでない・わからない、の3つの中から選択)。
(大西議員の回答)
TPPの交渉に参加すべき

■東京保険医協会
(質問)
TPP(環太平洋連携協定)への参加について、いかが考えますか?(※賛成・反対・その他、の3つの中から選択)
(大西議員の回答)
賛成

■テレビ朝日「モーニングバード」
(質問)
TPP交渉に参加することについて賛成ですか?反対ですか?(※賛成・反対、どちらかを選択)
(大西議員の回答)
賛成  ※聖域なき関税撤廃を前提にする限り、参加すべきでない。

(質問)
その理由は?
(大西議員の回答)
自由貿易の推進は日本の通商政策の柱ですが、TPP交渉に際しては、可能な限り国益に即してメリットを追求する交渉力を必要とするため。

2014/06/26 「犯人探しをしても、地方議会の問題は改善しない」~セクハラ発言をうけた31歳の女性議員、水野ゆうき我孫子市議インタビュー(ぎぎまき記者)

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 6月18日、都議会の本会議中に発生したセクハラやじ問題は大きな波紋を呼び、この騒動の中で、政界では同じようなセクハラやじが横行していることが明るみになった。4月の衆議院総務委員会で、日本維新の会の上西小百合議員に対し、自民党の大西英男議員が「まず自分が子どもを産まないとダメだ」などとセクハラやじを投げていたことが判明。問題は国会にまで飛び火し、終息する気配を見せない。

※2014/06/24 「野次は一人ではなかった」 塩村文夏都議が、女性を蔑視する野次が飛び交う東京都議会の空気を批判

 セクハラやじについては、地方議会の方が顕著だ。復数の地方議員たちが、自身の被害体験をSNSで告白している。岩上安身がコメンテーターとして出演した24日(火)放送のテレビ朝日「モーニングバード!」でも、地方議会のセクハラやじについて取り上げている。

※【岩上安身のツイ録】世界から厳しい視線 鈴木章浩都議の「言葉による痴漢行為」と尖閣上陸「モーニングバード!」で岩上安身がコメント

 中野区議会の中村延子議員は19日、自身のツィッターで、「さすがに議場では言われた事はありませんが、平場になると『議員なんてやめて結婚しろ』と各級議員から100回以上は言われた事があります」と明かした。個人に反省を求めても、政治の場を変えなければ、問題は改善されないとも訴えている。

 同じく中野区義である森隆之氏も塩村都議の件をうけ、「驚きはありません。もともと、都議会って『そういうところ』という認識だったからです」とつぶやいている。都議会、国会でのセクハラやじ問題は、氷山の一角である。

  • 記事目次
  • 女性議員による、「生理なの?」発言
  • 自民党議員だったら、やじは飛ばなかった
  • 「謝って下さい」すぐに謝罪を求める
  • 可視化することで抑止力になる

  • 日時 2014年6月26日(木) 13:30頃〜
  • 場所 品川近辺
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女性議員による、「生理なの?」発言

 「もしあれが、自民党の女性都議だったら、同じようなやじが飛んだでしょうか」——。

 IWJは26日、セクハラ発言を経験した、千葉県我孫子市の水野ゆうき議員にインタビューを行なった。過去、女性蔑視の発言を幾度と受けてきたという水野議員に、当事者の一人として、今回のやじ問題をどう見るかを聞いた。

 中村区議同様、発言者個人の問題ではなく、地方議会の仕組みやあり方に改善点があると指摘する水野議員は、犯人探しに焦点をあてた報道についても疑問を投げかけた。

 水野議員は、現在31歳。我孫子市議会の中では、最年少の女性議員だ。2011年11月、政党や組織の後ろ盾がない無所属で立候補、28歳という若さで3位当選を果たした。議員となって3年目を迎えた2013年の6月、水野議員は議場で、塩村文夏都議同様、セクハラ発言を受けている。

 「今日はパンツスーツだけど生理なの?」

 2013年6月の我孫子市議会で一般質問を終え、席に戻ろうとした水野議員は、近くにいた女性議員からあり得ない一言を浴びせられた。何の目的でそんな発言をしたのか分からないが、不愉快な想いを与えることは分かっての一言である。

 「本会議中ではないにしろ、男性議員が8割を占める議場で言われた時は、不愉快で恥ずかしかったですね。でも、もっとショッキングなことが別にありました」

 今年3月、さらに彼女の気持ちを傷つけた出来事があった。

 3月の本会議の閉会日となった3月20日、我孫子市長により、副市長と監査委員の人事案件が提出された。監査委員の議案に納得がいかず、賛成できなかった水野議員は、採決中に議場を退席するという行動に出た。自身の意見を表明したに過ぎないのだが、新人の女性議員による「退席」は、一部の議員から反感を買った。

 その日開かれたという議員懇談会の場で、自民党のある男性議員が、水野議員の頭の上に手をぐっと押し付けながら、「そんなんだから結婚できないんだよ」という暴言を浴びせたのだ。

 「とても悔しかった。退席したからといって、ああいうことをされることは侵害。女性議員に言われた一言よりも傷つきました」と、水野議員は当時を振り返った。

自民党議員だったら、やじは飛ばなかった

 なぜ、こういう問題が起きるのか、水野議員はこれまでも自分なりに原因を探り、考察し、ブログなどで問題提起してきた。

 不適切発言がまかり通る理由の一つには、当然、発言した議員のモラルや倫理観の低さにあるが、他方、地方議会の仕組みがそうさせるのではと、水野議員は指摘する。

 「今回は、みんなの党の女性議員に対するやじでした。もしこれが、今、大変勢いのある自民党議員だったら、同じようなやじが飛んだでしょうか。私は飛んでいないと思います。やはり、与党の方が『上』という意識がそこにあるのではないでしょうか」

 水野議員は、もし塩村議員が自民党会派に所属していたら、やじはなかったのではないかと分析。仮に水野議員が与党に属していたら、やじの対象にならなかったどうかは定かではないが、確かに、騒動後、都議会自民党の動きは鈍かった。都知事である舛添要一氏自身もやじが起きた18日、議場にいながらも、目の前で起っていることを把握していなかった。それどころか、笑みさえ浮かべていたのではと批判された。騒動になった後の定例会見の中では、「知事には対応する権限はない」と釈明、笑みについても否定している。共産党都議団が自民党会派に議会運営委員会の開催を求めたことについても、3日の時点で未だ明確な回答をしていないといい、鈴木都議一人の謝罪でこの問題に幕引きを測ろうとする与党の対応に未だ批判は止まない。

※2014/06/20 「早く結婚したほうがいい」とのヤジの際、笑みを浮かべていた舛添知事が釈明

 地方政治に政党政治が持ち込まれていることを強く懸念すると話す水野議員だが、それだけではない。「二元代表制」にあるべきではない、与党vs野党という構図も、期数の長い重鎮議員の意見がまかり通ってしまうという議会の風習も、水野議員は納得できないのだ。

「謝って下さい」すぐに謝罪を求める

 「毅然とした態度を崩さないようにしてきました」

 水野議員は、こうした既存の議会風土に埋没しないよう、常日頃から「是々非々」を貫いているという。新人、女性、無所属であっても、市民から付託された一議員であることは変わらない。市民のために仕事をするのが、地方議員の仕事であるという信念を崩さなかった。セクハラ発言を受けた時も、その都度、相手に謝罪を求めてきたという。

 「生理なの?」と言ってきた先輩の女性議員に対しては、その場で、「謝って下さい」と伝えた。「だから結婚できないんだよ」と頭に手を押し付けてきた男性議員についても、間を置かず、謝罪を求めた。「女性を差別しています。公私混同しないでください」とも伝えた。両者とも、不適切発言を正式に認め、水野議員に謝罪の言葉を述べたという。

 当時のことを、笑顔で颯爽と語る水野議員だが、政治家になってから、急激に白髪も増えたという。見えない所で何度も悔し涙も流してきた。大学卒業後、就職した企業で養ってきた一般常識や倫理観が、政界の場では通じなかったからだ。

 「一人の議員としての政治的判断を、重んじる空気になってきた気がします」

 それでも、毅然とした態度を崩さず、自分の主張をはっきりと伝えていくことで、周囲の姿勢も少しずつ変わってきたと話す水野議員の表情は和らいだ。

可視化することで抑止力になる

 水野議員は過去、自身が受けてきた不適切な言動について、発言者の名前や所属会派は明かしてこなかった。犯人探しをして、批判することもなかった。ただ、日常的に議会の様子や自らの経験をブログやSNSを通して可視化してきたという。それを切り口に、地方議会の現場で見られる議員のモラルや倫理観の低さを批判し、改善するための取り組みを市民に訴えてきた。可視化することは同時に、心ないセクハラ発言の抑止力や予防にも繋がっていると話す。

 今回の騒動で、セクハラやじを飛ばすとどうなるか、その反響の大きさが身にしみた議員は多かっただろう。特に男性議員は襟を正すきっかけとなったはずだ。水野議員はこれを契機に有権者も、自分が住む町の政治について今一度、関心を持ってくれればと願う。

 「有権者はどうしても、国会に注目が行くかもしれませんが、ぜひ自分の住む町の選挙に感心を持って欲しい。選挙活動の時は、候補者は耳障りのいいことしか書かないし、言わない。その人が、議会でどんな活動をしてきたのか検証してから投票して欲しいと思います」

 インタビューの最後に、水野議員に地方政治のおもしろさについて聞いた。

 「自分の政策が非常に通りやすいのはあります。国政では難しいことです。市政と市民の距離が近いので、市民のみなさんが日頃困っていることを、解決する仕事ができるということ。目に見えるので、達成感にも繋がりますね」

 これまで、我孫子市議会では、3人以上の議員で会派を組むことが求められてきたが、水野議員はこの制度にも疑義を唱えてきた。結果、今では2人から会派を組むことが許され、ようやく特別委員会にも参加できるようになった。そして現在、今年3月に設置された議会改革特別委員会で、議会の最高規範となる「議会基本条例」作りに取り組んでいるという水野議員は、議員のモラルや倫理観を条例化することで、セクハラやじがまかり通らない議会の在り方を目指している。(IWJ・ぎぎまき)

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国会でセクハラ野次を飛ばした自民党・大西英男議員の主張する「自分の言論の自由」 ~過去にはNHKに対して「孫崎享を出すな」と「言論弾圧」 岩上安身が問い質すと「それは自分の言論の自由」

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 都議会でセクハラ野次を飛ばした自民党都議が問題になったが、今度は、国会議員がセクハラ野次を飛ばすという騒動が勃発した。

 今年4月17日、国会の衆院総務委員会で、日本維新の会の上西小百合議員が少子化問題について質問中、「まず自分が子供を産まないとダメだぞ」とセクハラ野次が飛んだ。7月4日、野次を飛ばしたのが自民党の大西英男議員であることが判明した。

 大西議員は、当初は「記憶にない」と自身の野次であることを否定していたが、一転して自身の発言であることを認め、4日午前、上西議員に電話「申し訳なかった」と謝罪した。

 大西議員は、6月にセクハラ野次が問題となった東京都議会で、長年、自民党都議会議員を務めた人物だ。

 都議会でセクハラやじを飛ばした鈴木章浩・自民党都議も、当初、自分ではないとトボケていたことは記憶に新しい。その後、鈴木議員は記者会見で謝罪し、自民党会派を離脱した。しかし、大西議員はいまだに記者会見を行わず、記者団からの取材にも応じず、自らの責任も明らかにしていない。

 大西議員は4日、自身のブログ「ヒデちゃんの携帯日記」に以下のような釈明を掲載している。

 「昨夜から総務委員会の4月17日における不規則発言について様々な問い合わせがある。これを受けて、当時の映像等を精査した結果、私の発言があったことを確認した。

 質疑者の上西小百合議員とは党派は違っても同期生のよしみで日頃から親しく意見交換している。つい、そうした親しみから不用意な発言をし、上西議員に対してご迷惑をおかけしたことを反省している。今日午前中に上西議員に対して謝罪の電話をおかけしたところ、快く受け入れていただいた。

 私は、今後、自らの発言について十分に注意をしていかなくてはならないと肝に銘じている。

 そして、私のライフワークである少子化問題にさらに一層の努力を続けていきたいと思う。

 総務委員会における不規則発言により、日頃からご指導、ご支援をいただいている皆様や今回の発言でご不快な思いをなさった方々に対して、多大なるご心配やご迷惑をおかけしたことを、心からお詫び申し上げます」

 「不規則発言をしてしまったことをお詫びする」という内容以上でも以下でもないこの文面からは、自身がセクハラやじをしてしまった背景や、少子化問題についてどう考えているのか、自身の発言の問題の大きさへの認識は、全く伝わってこない。

 この国会でのセクハラやじ発言には、閣僚からも批判が相次いだ。

 森雅子少子化担当大臣は4日の閣議後の記者会見で、「東京都議会に引き続いて、女性蔑視やセクハラに当たるやじは、断じて許されない」と批判。

 稲田朋美行政改革担当大臣も閣議後の記者会見で、「真偽は不明だが、女性の活躍を阻害するようなやじや雰囲気は、全く好ましくない」と述べた。

 さらに下村博文文部科学大臣も閣議後の記者会見で、「いくらやじは『議場の華』といっても節度が必要。相手の人格を否定するようなことは、やじではなく、単なる誹謗中傷であり、十分慎むべきだ」と語っている。

 実は、大西議員の問題発言はこれが初めてではない。過去にはNHKに対して圧力をかけ、孫崎享さんへの「言論弾圧」ともいえる発言を行っていたのだ。

 2013年3月21日、2013年度のNHKの予算を審議する衆議院総務委員会で質問に立った大西議員は、同年1月1日にNHKで放送された「NHKスペシャル2013世界とどう向き合うか」に出演した孫崎享氏の、日中間の尖閣諸島をめぐる領有権問題に関する発言を問題視。「NHKの番組において、正しい認識とは思えないような主張を延々と続けていく。こういうことが許されていいのかどうか」「間違った考えを語る人間を、ひとりでしゃべらせてはいけない」などと発言した。

 「NHKは今後、孫崎氏を番組に出すな」と、あからさまに訴えている。「公正中立」であるはずのNHKに対し、その番組構成に国会議員が介入するというのは、言論弾圧に他ならない。

・2013/04/04 「彼は事実に反した発言をしている。けしからん」衆議院総務委員会で名指し批判された孫崎享氏が、自民・大西英男議員に徹底反論
~孫崎享氏 緊急インタビュー

 岩上安身は5月14日、渦中の大西議員に単独インタビューを行い、問題発言の真意を聞いた。

・2013/05/14 NHKに対し、孫崎享氏を番組に起用するなと圧力をかけた自民党・大西議員、自身の発言については「言論の自由」 ~大西英男議員インタビュー

 「国会の総務委員会で、孫崎氏をNHKに出すのは好ましくないと発言するのは、言論弾圧ではないか」という岩上安身の問いに対し、大西議員は「NHKに対して、国民一般がどういう印象を持っているか、伝えるというのは、委員会の場で大切なことだ。また、自分自身の考えを、一議員として述べたものである。政府答弁で総務省の役人が言ったり、委員会で採決して、NHKがおかしい、と言うなら問題かも知れないが、委員会での発言が、委員会外で問われない、国会議員の言論の自由の範囲である」などと語った。

 人の言論は制約しておきながら、自分の発言はあくまで「言論の自由の範囲だ」という主張を譲らない。他人の言論の自由は制限する、自分の言論の自由は守られる、というのである。

 しかし岩上安身から「自民党の憲法改正草案には、『公共の秩序を害するかどうかで、言論の自由を制約する』とあるが、公共の秩序の線引きは誰がするのか」と問われると、大西議員は「政府は国民から選ばれて作っているので、(政府の判断が)国民が判断した公共の秩序、ということになる」と述べた。

 「国会議員、政府の判断が公共の秩序だ」と堂々と語る大西議員にとって、自身のセクハラ野次は「公共の秩序」に則していると言えるのだろうか。国会で女性に対して性差別的な発言をし、何ら責任を問われず、自身も取ろうとしないことが、自民党の「公共の秩序」とでも言うのだろうか。

 大西議員がセクハラ野次を飛ばした時、他の議員は笑っており、中には手を叩いている議員までいたという。

・「議員たちは笑っていた」――国会「セクハラヤジ」が飛んだ瞬間を傍聴者が証言(弁護士ドットコム)

 もし大西議員に対し自民党が、厳重注意だけで何ら処分を下さなかったとしたら、自民党自体の見識を疑うしかない。

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2013/05/14 【大義なき解散総選挙1】自民党公約「段階的な関税撤廃も受け入れない」とは違う議員が語った本音とは ~大西英男議員インタビュー

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特集 総選挙2014特集 TPP問題

【解散総選挙プロジェクト】 サポート会員限定記事を特別公開中!!

 2013/05/14(火)14時 から、東京都千代田区の衆議院第二議員会館の、自民党の大西英男議員事務所で、岩上安身による「大西英男議員インタビュー」が行われた。岩上は、3月21日の衆議院総務委員会で、大西議員が、評論家の孫崎享氏の出演した1月1日放送『NHKスペシャル2013 世界とどう向き合うか』の内容について、「間違った考えを語る人間を、ひとりでしゃべらせてはいけない」とNHK会長を詰問した問題について、「同番組で孫崎氏は5、6人と出演していたのであり、ひとりでしゃべっていたわけではない」と指摘した。大西議員は「その番組は1月1日のNHKスペシャルではなく、2012年8月の『NHK NEWS WEB24』であった」と訂正した。

 次に岩上は、大西議員が「孫崎享氏は、自身のツイッターで、2012年7月10日に、尖閣諸島は日本の固有の領土とはいえない旨の発言をしている」と述べたことについて、「その日に、孫崎氏のツイッターには、そうした記述は見られないが」と質問した。大西議員は「7月11日の間違いであった」と答え、その内容について、「中国の言い分に対して、それは正当だと言うことは、尖閣諸島は中国の領土である、とツイッターの読者は捉える」と指摘した。岩上はそれに対して、「(尖閣問題の)棚上げというのは、日本にとって有利だと、孫崎氏は述べている」と説明したが、大西議員は「棚上げというのは、暗黙の合意も何もない」という認識を示し、さらに「孫崎氏は、自分(大西議員)がTPP反対を掲げて衆院選で当選した、と言っているが、自分はTPPには条件付き賛成であり、選挙前の毎日新聞のアンケートの問いが偏っていたのだ」と釈明した。

 岩上から「国会の総務委員会で、孫崎氏をNHKに出すのは好ましくないと発言するのは、言論弾圧ではないか」と問われると、大西議員は「NHKに対して、国民一般がどういう印象を持っているか、伝えるというのは、委員会の場で大切なことだ。また、自分自身の考えを、一議員として述べたものである。政府答弁で総務省の役人が言ったり、 委員会で採決して、NHKがおかしい、と言うなら問題かも知れないが、委員会での発言が、委員会外で問われない、国会議員の言論の自由の範囲である」と語った。

 最後に、岩上の「自民党の憲法改正草案には、『公共の秩序を害するかどうかで、言論の自由を制約する』とあるが、公共の秩序の線引きは誰がするのか」という質問に対して、大西議員は「政府は国民から選ばれて作っているので、(政府の判断が)国民が判断した公共の秩序、ということになる」と述べた。【IWJテキストスタッフ・柴崎/奥松】

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■視聴者ツイート

■実況ツイート

【IWJ・争点山盛り選挙】JAが「殺される」理由 〜TPP参加で「聖域」の関税を守る気のない自民党と、それでも安倍政権を支えるJAの不条理

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特集 総選挙2014特集 TPP問題

 「大西英男が取材を受けました、2013年5月14日の放送内容について閲覧させていただくか、もしくはデータをいただきたい」――。

 自民党・大西英男衆院議員の政策秘書の方からIWJ事務所にそう問い合わせがあったのは、11月17日のこと。安倍総理が記者会見で衆院解散を発表した前日でした。私が大西英男議員にインタビューした映像を確認したい、との依頼です。

 秘書の方が言うには、2014年10月30日付の日本農業新聞のコラム「万象点描」で、私が大西議員の発言を引用して書いた記述が気にかかったのだそうです。大変あわてている御様子だったのは、安倍総理の解散の発表直前という時期だったためなのでしょう。

 日本農業新聞は読者層のほとんどが農業関係者で占められており、私が取り上げた「TPP問題」には敏感な方が少なくありません。同紙のコラムを呼んだ読者から、大西議員の事務所に問い合わせが殺到したようです。

  • 記事目次
  • 「いずれ関税撤廃は自民党の多くの議員も同じ考え」
  • 大西議員の口から語られた「事実」とは
  • 自民党「TPP対策に関する決議」とも根本的に矛盾する
  • 1000万票のJA票を裏切り、切り崩す安倍政権
  • 農業関係者の悲鳴「我々はなぜ殺されようとしているのか」
  • 安倍政権は、なぜJAを殺すのか
  • それでも「消極的」に自民党を支持するJAの選択
  • 「この道」の先に待ち受けているもの

「いずれ関税撤廃は自民党の多くの議員も同じ考え」

 私はコラム「万象点描」で、次のように書き、自民党の二枚舌を批判しました。

 「2012年末の総選挙で、自民党は『ウソつかない。TPP断固反対。ブレない』というポスターを全国各地に貼り、JAの支持を取りつけて政権を奪還した。しかし安倍総理は、13年2月22日の日米首脳会談で、オバマ大統領に対して早々にTPP交渉参加を約束。3月15日には、TPP交渉への参加を正式表明した。

 こうした安倍総理の姿勢は、JA、並びに全国で農業を営む方々に対する明白な裏切りである。『聖域』という名の『重要5品目の関税』、という最小限の約束も、実は守る気などさらさらない」

 大西議員秘書が「確認したい」と言われたのは、これに続く、次のくだりです。

 「自民党の大西英男衆院議員は、13年5月14日に私がインタビューした際、自民党が掲げた農産品の『聖域』について、『すぐにではなく、いずれ関税撤廃ということ。自民党の多くの議員も同じ考えだ』と語った。これが、自民党の本音なのである」

 「すぐにではなく、いずれ関税撤廃ということ。自民党の多くの議員も同じ考えだ」という大西議員のこの発言部分について、大西議員の政策秘書は、「この大西の発言とされる内容が、事実、大西が述べた内容なのか、岩上氏が内容を意訳なされたものなのかを確認したい」とIWJに問い合わせてこられたのでした。

 JAの方々は「聖域は守る」という自民党の公約を素朴に信じ、選挙でも応援してきたのかもしれません。それだけに、大西議員の発言は、自民党への信頼をぐらつかせるものであり、本当に事実としてそんな発言をしたのか、我が目、我が耳を疑う思いで、大西議員事務所へ問い合わせをしたのでしょう。

 その中には大西議員の選挙区である東京16区、江戸川区の有権者の方々もいたことでしょうが、他の都道府県の農家の方々からの問い合わせもあったかもしれません。

 しかし、もちろん、私が虚偽の事実を書いたわけではありません。残念ながら、というべきか、大西議員は、確かに私の書いたとおりに発言されました。

大西議員の口から語られた「事実」とは

 ここで、該当箇所の映像と、実際に大西議員の口から語られた「事実」を、文字起こしでお示しします。

※該当箇所の映像

岩上「じゃあ次に参りたいと思います。次は大西さんの、大西先生のTPPの」

大西「さんでいいですよ。さんでいいです。どうぞ」

岩上「考え方ということで、これが色々出ました。そして、色々、アンケートにお答えになった資料というものをお送りいただきました。ずいぶんたくさんのメディアから、アンケートが来ていて、それに対してお答えになっていらっしゃるんですよね。

 これです。はい、アップしてください。これです。これが、平成24年衆議院選挙においてのTPPに関わるアンケート回答。これ、このまま出しません。その部分のところだけ引用させてもらいます。

 読売新聞に対して、『日本はTPPに参加すべきと思いますか? 思いませんか?』と言ったら、これは『やや賛成』とお答えになっていらっしゃる。『TPPへの参加について、あなたの考えは次のAとBどちらに近いですか?』『A:海外の需要を取り込み、経済成長が望めるのでよいことだ』『B:日本の農家の収入を脅かすのでよくないことだ』

『ややAに近い』に近いと。だから、海外の需要を取り込み、経済成長が望めるのでよいことだというところにやや近いと」

大西「まあまあ、これ長くなりますからね。はっきり申し上げますよ。条件付き賛成ですよ。全部」

岩上「条件付き賛成…」

大西「で、毎日新聞だけは、こういう問いをしてきたんですよ。ね?『TPPに反対ですか?賛成ですか?』それだけ。で、さらに加えて、あの、『TPPの農業分野についてあなたの考えにもっとも近いものをひとつ選んでください』」

岩上「なるほど」

大西「『コメなど可能な限り多くの例外品目を設けるべきだ』と言ってるんですよ。ね? 賛成か反対か? そのときに、私は条件付きの賛成ですから、これ本来だったら、どちらにも丸を付けないほうが良かったんでしょうね。毎日新聞だけです。あとは全部一貫してますよ。条件付き賛成。はい。

 それをね、それを見ないでね。この毎日新聞だけ、なんかインターネットかなんかで公開されているんでしょうか? それで、大西はTPPに反対だと孫崎さんが発言した。それによって大変ですよ。ツイッターが。選挙でTPPに反対したのに、なぜ今、賛成してんだ。お前は議員辞職しろとかさ。とんでもない言論の暴力でしょ。ね? だけど、私ははっきり述べてるんだから、自分の信念を」

岩上「条件付き賛成なんですか?」

大西「そうですよ。だからTPPは、日本の経済の発展のために必要なことである。しかし、農業の問題だけはしっかり守らなければいかんということで、農業については条件付きでやりなさいと。

 こう言ってきた。安倍総理は、そのようにオバマ大統領と会見をして、その条件付き、ね? 関税撤廃無制限でないという言質を得た。それでオバマ大統領との会見を終えて日本に帰ってきてから、TPP交渉に踏み切ることにしたんですよ」

岩上「この場合の、『聖域なき』というのはどのように解釈されるんでしょうか?」

大西「ん?」

岩上「オンザテーブルということ。つまり、すべてが交渉の上に挙げられると。これは、USTRもはっきり言ってるわけです。ということは、一切、もう論議することもなく、聖域確保、撤廃なしというような約束というのは、誰もしていないはずなんですよ。これは、必ず、テーブルに載せられると。

 そこで、重要なことがひとつあって、先日、そのUSTRに直接、訪米した訪米団があったわけです。

 元議員や議員のグループなんですけれども、そこで帰朝して報告会をやった。そうしましたら、聖域と言いますか、例外扱いしてくれるのかと。この方たちも農業を守りたいとおっしゃっているから、志は同じだと思うんですけれども。守りたいと思っているので、それは聖域扱いをするのかと言ったら、これは、カトラーさんという、USTRのトップですけれども、No.3ですか。

 彼女が、『関税の完全な撤廃を目指しているんであって、関税を残すということは一切ない』と(発言した)。ただ、それが段階的に減らすか。つまり、時間をかけて減らすか。つまりなくしてしまう。ゼロに。でなければ、一時的なセーフガードが認められるだけで、いわゆる聖域として関税を残すということはないと言ってるわけですよね」

大西「いや、だから、そういうことですよ。それは、だから、もちろん、その半永久的にね。この関税を残せなんて言ってないんですよ」

岩上「あ、そうなんですか?」

大西「そうですよ。それは、やっぱり日本の農業の体質改善や、日本の農業の競争力の強化を図りながら、そして、ゆるやかな形で日本農業の改革を進めるなかで、関税を撤廃をしていこうというような基本的な考え方は、私は持ってますよ。そして、自民党の多くの人たちも持ってますよ。

 それを、TPPに入ったから、即関税撤廃だということはありえない。それは、アメリカも、農産物の関税は、撤廃したいけど、自動車は守りたいんですよ。あれ、自動車だって10年後に協議しようということで落着したでしょ? だから、これはまた、そこからの論議です。

 なんで、アメリカさん、自動車だけは、関税撤廃を認めないで、日本の農業だけ、なんで即、関税撤廃だという話になるでしょ。それはありえない、外交交渉では。

 ですから、これは、TPPを締結したあとに、しかるべき形で論議が進んでいくことだと思うんですよ。

自民党「TPP対策に関する決議」とも根本的に矛盾する

 読者の皆さんには、おわかりいただけたと思います。

 大西議員は、「半永久的に関税を残せなんて言っていない」とし、「日本農業の改革を進めるなかで、関税を撤廃をしていこうというような基本的な考え方は、私は持ってますよ。そして、自民党の多くの人たちも持ってますよ」と、確かに発言されました。

 この発言は、私が日本農業新聞のコラムで書いた「自民党の大西英男衆院議員は、(中略)『すぐにではなく、いずれ関税撤廃ということ。自民党の多くの議員も同じ考えだ』と語った。これが、自民党の本音なのである」という箇所と一致します。

 大西議員は、ご自身のみならず、多くの自民党議員が、関税撤廃への意思を持っていることをはっきりと明言したのです。

 また、大西議員は「TPPに入ったから、即関税撤廃だということはありえない」と言いつつ、「TPPを締結したあとに、しかるべきカタチで議論が進んでいく」とも発言しています。これは、TPPの参加が、関税引き下げ交渉の「ゴール」ではなく、締結後にも、交渉が続いてゆく、即ち関税のさらなる引き下げ、あるいは完全なる撤廃の圧力が米国からかかり、日本側も応じる用意があることを意味しています。

 TPPは交渉の終わりではない。そして日米間協議が続く中で、いずれ、「関税を撤廃していこうという基本的な考え方」を、大西議員も、他の自民党議員も持っているというわけです。

 大西議員のこの主張は、インタビューのわずか2ヶ月前、2013年3月13日に出された、自民党による「TPP対策に関する決議」の中の文言と矛盾しています。

 「決議」の中では、「TPP対策委員会第4グループとりまとめ」の項において、「TPPでの日本の主張」として次の文言が掲げられています。

 「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物等の農林水産物の重要品目が、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象となること。10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めない」

 10年を超えるような、長期にわたっての段階的な関税撤廃も認めないと、自民党ははっきり言いきって決議までしています。この部分の約束を、全国の農業関係者の方々は頼もしく思ったことでしょう。

 自民党は表向きには重要品目の関税撤廃を永続的に認めないとし、あくまで「聖域を保つ」と断言して、農業関係者の歓心を買いながらも、実際には、大西議員の言うように、いずれは関税の撤廃を目指している、という本音を腹の底にたくわえているわけです。

 自民党の二枚舌が、私のインタビューの中で、図らずも露呈されたことになります。

 大西議員事務所から、インタビューのデータを送るか、サイトでインタビュー全体を見られるようにして欲しい、という申し出がありました。大西議員側だけに見てもらって確認してもらうのは、インタビューの本来の趣旨と違いますので、多くの方に御覧になっていただけるように、11月20日に再配信し、その後もどなたでも御覧いただけるようにフルオープンにしております。どうぞ、御覧ください。

※2013/05/14 【大義なき解散総選挙1】自民党公約「段階的な関税撤廃も受け入れない」とは違う議員が語った本音とは ~大西英男議員インタビュー

1000万票のJA票を裏切り、切り崩す安倍政権

 農協は自民党の「最大の支持組織」として、長年、自民党を支えてきました。農家数は年々減少していますが、農協は、正組合員と准組合員を合計すれば、いまだに1000万人近い組合員を擁しています。巨大な「農協票」です。

 09年の選挙では、民主党が農家への「戸別所得補償制度」を打ち出したことで、農協票の大半が民主党に流れたと言われており、これが政権交代に大きく影響していたとも分析されています。

 民主党・菅直人政権時に持ち上がった日本のTPPへの交渉参加問題。農協が2011年に集めたTPP反対署名は、日本の人口の約10分の1にあたる1160万筆を超えました。2012年の衆院選で、自民党は「TPP断固反対」を掲げ、農協票を再び取り込み、政権を奪還したのです。

 しかし、安倍政権が、アベノミクスの一環として今年6月に閣議決定した「新成長戦略」は、政権交代の「恩義」のあるJAに対して、「仇で返す」ようなものでした。

 「新成長戦略」の最大のポイントは「農協改革」です。これはJAの事実上の解体であり、農家の発言力の低下を狙ったものです。

 まず、全国約700の農協の司令塔である「JA全中」を新たな組織に移行させ、単協に対する経営監査などの権限の大幅縮小を打ち出しました。また、生産から卸し業まで一括した管理体制で農作物を流通させているJA全農を株式会社化するとし、農業法人への企業の出資の規制緩和も目指すとしています。さらに、農業生産法人の設立要件も緩和するとしており、企業の農業参入を促進してゆくというのです。

 自立した家族農・自営農の集まりである協同組合を企業の形態に再編することは、将来的に何を意味するのでしょうか。

 会社法改正以後の一般企業がそうであるように、株式企業となれば、株主支配が貫徹されることになり、株主には高い割合で外資が含まれることになるでしょう。農業法人が、日本の国土の多くを占める農地を所有し、その農地を外資が株主支配すれば、領土を巡るまがまがしい侵略戦争など引き起こさなくとも、無血で日本の国土を事実上、手に入れることができます。その農地をまた別の目的に転売することも可能でしょう。

 もしそうしたグローバル資本の思惑に抵抗しようとして、政府や地方自治体が国土保全のための規制をかけようとすれば、TPP参加後であれば、ただちにISD条項による提訴が行われることでしょう。

 小規模農家は次々と農地を手放し、農家を廃業するか、農業法人の従業者とならざるをえなくなります。何にことはない。戦後の農地解放以前の「小作人」へ逆戻りです。

農業関係者の悲鳴「我々はなぜ殺されようとしているのか」

 こうした日本の農業と農家の切り捨て政策について私は、コラムの中で、次のようにも書き、警鐘を鳴らしました。

 「安倍総理がTPPへの参加を表明した真の理由は、『強い農業』の復活による経済成長などというものでは、もちろんない。安倍総理の狙いは、JAの解体であり、日本の小規模な家族経営農家を消滅させ、農業と農地を株式会社化した上で、大資本に売り渡すことである。

 7月30日付けの産経新聞の報道によれば、安倍総理は、TPPに反対するJAを指し、『日教組のような抵抗組織だな』と周囲に怒りをぶちまけたという。かつての小泉政権が郵便局を『抵抗勢力』として『悪魔化』し、新自由主義改革を推進したように、安倍政権はJAを『悪魔化』するキャンペーンを張ろうとしているのだ」

 安倍政権の「裏切り」を前に、農業関係者の方々は、「我々はこれまでさんざん自民党に尽くしてきたのに、なぜ、こんな扱いをされるのか」と疑問に感じているでしょう。

 これもコラムで書きましたが、私は今年7月、全国のJAの組合員の方々、百数十人を前にして、お話をさせていただく機会がありました。

 私はTPPに対する批判者であり、したがってTPP参加をすすめる安倍政権への批判者でもあります。今は「TPPは交渉差止・違憲訴訟の会」の呼びかけ人にも名を連ねています。そんな私に、自民党の「最大の支持組織」であるJAの関係者が講演を依頼するとは、どんな風の吹き回しでしょうか。「講演依頼をなぜ私に?」とおたずねしました。

 「我々は、なぜ『殺されようとしているのか』わからないです。なぜなのかを、知りたい」。担当者の方は、そう率直に答えられました。

 「我々はTPP反対という自民党の公約を信じ、衆・参の両選挙で自民党を盛り立て、安倍政権を誕生させました。しかし、その公約はあっさり反故にされ、それどころか、JA全中解体を迫られています。尽くしたあげく、なぜ、殺されなければならないのか、わかりません」

 切実な口調でした。本気で自民党を信じ、そして裏切られた、その悔しさがひしひしと伝わってきました。
(岩上安身)

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2015/02/14 「米国と同じ土俵に上がる必要はない。胸を張って日本の農業を守って」──岩上安身がJA栗っこで講演、米国のグローバル資本主義に警鐘「農家の皆さんは、このままでは農業をやめざるをえなくなる」

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特集 TPP問題

 「アメリカの開拓者らは、非キリスト教徒で、有色人種で、西欧文明に感化されていないアメリカン・ネイティブを、同じ人間として見ることなく土地を奪った。今度は、それを日本でやろうとしている」──。

 岩上安身は、米国や豪州の大規模農業は、先住民族の土地を略奪して成立したものであり、「そんなものと同じ土俵で戦う必要はまったくない」とし、日本の農業者は誇りを持って、自分たちの農業を守ってもらいたいと訴えた。

 2015年2月14日、宮城県栗原市の栗っこ農業組合(JA栗っこ)の招きで、IWJ代表の岩上安身が講演を行った。TPP交渉が大詰めを迎えている現在の状況、JAに対する安倍政権の冷淡な対応、日本の農業への影響などを語った岩上安身は、アメリカのグローバリズムの危険性を説き、「米国は、TPPで日本の農業を完全に解体しようとしている」と強調した。

 安倍政権が標榜する「農政改革」の真意は、アメリカにとっての「良い改革」であり、かつての郵政民営化と同様、JAマネーの運用資金120兆円(保有資産は400兆円)が狙われていると、岩上安身は言う。

 さらに、講演の終盤では国際情勢に言及し、「今、世界は安易な戦争市場に向かっている。キナ臭いのは中東、ウクライナ、極東の3ヵ所。アメリカが日本に求めているのは、集団的自衛権の行使で、中東、アフリカ、ウクライナに行くことだが、『イスラム国』による邦人人質事件で、それが一段と現実味を帯び始めた。危機は、すぐ近くにある」と警告した。

  • 記事目次
  • 「農政改革」はアメリカに都合の良い改革
  • 「TPPに聖域はない」という自民党・大西英男議員の本音
  • JAに手のひらを返す安倍政権
  • 農業のジェノサイド、狙われるJAマネー
  • 農業を廃業して何をする?──受け皿を考えていない日本政府
  • 「悪魔の顔をした資本主義」の登場
  • アメリカの食い物にされるウクライナ
  • 空虚な国家、アメリカ
  • 日本の農業者が「追いやられる先住民」にならないために

  • 講演 新春 JA栗っこの集い 農政講演「今後の農業政策の方向性と農家・JAに与える影響について」 IWJ代表・岩上安身
  • 日時 2月14日(土)13:00~
  • 場所 栗原文化会館(宮城県栗原市)

「農政改革」はアメリカに都合の良い改革

 「今、メディアがおかしくなっていて、事実を報じることが難しくなっている」と口火を切った岩上安身は、それは、日本が戦争をする国になろうとする、大きな曲がり角に来ているからだとし、まず、TPPの危険性を解説していった。

 長年、レギュラー出演していたフジテレビの情報番組「とくダネ!」で、TPP批判を30秒ほど口にしただけで番組降板を求められた、と語る岩上安身は、「同番組では何でも自由に発言できたのに、TPPだけはダメだった。私は発信を続けるためにインターネット・メディア(IWJ)を立ち上げたが、既存メディアへの、スポンサーや政府からの圧力たるや露骨なものがある。まるで、戦前・戦中のような報道統制で、その結果、国民に正しい情報が伝わらない」とし、このように続けた。

 「今、『農政改革』という言葉がある。通常、『改革』とは良い意味だが、『農政改革』とは、誰にとって良いのでしょうか。皆さんに良いことが起きますか? そうではなく、米国にとって都合の良いことを、日本の生産者の犠牲の上に行うのです。米国のために、日本の農政をねじ曲げることを『農政改革』と呼んでいる。そのエージェントが自民党です」

※2011/07/10 TPPという巨大なタブーを、あえて踏む ~僕がテレビを辞めさせられた理由~

「TPPに聖域はない」という自民党・大西英男議員の本音

 今の自民党は米国資本の手先、と断じた岩上安身は、「昨年(2014年)7月にJAの講演に招かれた。依頼者は『衆・参の両選挙で、JAは安倍政権を応援して勝たせたのに、その安倍政権に殺されそうだ』と言い、私は、安倍政権の正体は(米国の)中間管理職ですよ、という話をした。その時のご縁で、昨年8月にはJA栗っこでも講演させていただいた」と振り返った。

※2014/07/17 【再掲】「JAは、何回だまされるんですか?」 IWJ代表・岩上安身がJA関係者へ講演 ~「安倍政権の本質 ―グローバリズムの脅威」 とは

 その講演の際、聴衆の目の色が変わったのは、「TPPに聖域はない。時間がかかっても関税ゼロにする。他の自民党議員も同じ考えだ」という、自民党の大西英男議員の言葉を紹介した時、と岩上安身は言う。

 「私のインタビューを受けていた大西議員は、そのようにはっきり発言しました。インターネットで生中継していたので、映像はすべて残っている。本当の情報を知ったら、皆さんをごまかし続ける既存メディアの報道がバカバカしくなると思います」

 この件を、岩上安身が日本農業新聞のコラムに書いたところ、農業関係者からの問い合わせが大西議員の事務所に殺到。大西議員の政策秘書から「発言を確認させてほしい」とIWJに連絡が入ったため、会員向けだった映像を全公開した。「その後、大西議員の事務所からも、自民党からも、何のクレームもない。事実なので、文句の言いようがないのだろう」

※岩上安身安身の「ニュースのトリセツ」】JAが「殺される」理由 ~TPP参加で「聖域」の関税を守る気のない自民党と、それでも安倍政権を支えるJAの不条理

※2014/09/26 ものを言えない日本社会にジャーナリストらが警鐘「差別主義者の『表現の自由』を守るためにマイノリティの『表現の自由』が奪われていいのか」

JAに手のひらを返す安倍政権

 しかし、このようなことがあっても、JAから自民党への抗議や反発は大きな流れになっておらず、岩上安身は、「もう、ラストチャンスです。(TPPは大詰めにきているので)安倍政権は本性をあらわにして、自民党の最大の支持基盤だったJAを、近頃では『最大の抵抗勢力だ』と言い始めた。童話『赤ずきん』のオオカミが正体を最後に現すのと同じ。だまし続けたあとで、皆さんを食ってしまおうということだ」と警告した。

 2013年秋に一俵60キロの玄米で約1万3000円だった生産者米価は、昨年2014年秋、2割から3割の暴落を経て、今は1万円を切っている。岩上安身は、「これは農業恐慌といえる状態なのに、全国で報道されていますか? NHKで、ちゃんと伝えていますか?」と会場に問いかける。

 「政府は、TPP締結の前に皆さんに騒がれては困るから、報道させない。しかも、国内のコメは作れば作るほど赤字になっているのに、甘利明TPP担当相は、米国からの輸入米を入れると言っている。これで、日本の農家の所得が上がりますか?」

 岩上安身は、安倍首相は歴代首相の中でも一番の大嘘つき、と口調を強め、JA全中(全国農業協同組合中央会)が、政府の農協改革案に同意したことに触れて、「JA全中は独占していた監査権を手放して、一般社団法人になる。しかし、これで終わりではない。(米国は)日本の農業の完全解体を目指している」と指摘した。

※2015/02/12 政府が掲げた農協改革による「農業所得倍増」はTPP交渉反対の口封じか――万歳章JA会長、ICA(国際協同組合同盟)会長らが会見

※2015/01/23 いかにして、絶望を希望に転化させるか~クロストーク「日本の真実を語る」第3回 木村朗×植草一秀×川内博史×岩上安身

※2014/10/23 「TPPはグローバル企業による侵略、国家の乗っ取り」~TPPの違憲性ついて岩月浩二弁護士に岩上安身が聞く

農業のジェノサイド、狙われるJAマネー

 この国の農政は、農民や消費者のために組み立てられてきたのだろうか、と疑問を呈した岩上安身は、日本は戦後70年経っても、なお、米国による「ソフトな占領」が続いているとし、「沖縄のように明確に現れているところもあれば、目に見えない形の支配が続いている分野もある。農業も、そうではないか。特に、今のように軍事が動いている時代には、それに真正面から向き合わなくてはいけない」と危機感を表明、このように続けた。

 「かつての日本では、コメと麦の二毛作が当たり前だった。小津安二郎の映画にも『麦秋』というタイトルの作品がある。だが、1951年に米国と結んだMSA協定で、米国の麦を輸入することになり、国内では麦を作らせないようにした。当時、これを『麦の安楽死』と呼んだが、農業ジャーナリストの大野和興氏は、『次はコメの安楽死、日本農業の安楽死。いや、農業のジェノサイドになるかもしれない』と言う。そうならば、殺されてたまるかと、必死で抵抗するのは当然です」

※2015/02/08 60年ぶりの農協改革、その裏で資本参入に荒らされる民衆農業再興の道のりとは? 岩上安身安身が農業ジャーナリスト・日刊ベリタ編集長 大野和興氏に聞く

 農業が殺されることは、この国の国民にとって死活問題だ、と言葉を継いだ岩上安身は、「まず、国内の農産物をTPPでダメにして、実体経済を叩き、次に狙われるのは皆さんの懐のお金」と述べて、郵政民営化で郵貯マネー350兆円が狙われたように、農協改革においても金融(JAバンク)と保険(JA共済)の「JAマネー」の運用資金120兆円(保有資産は400兆円)が狙われている、と警鐘を鳴らす。

 米国およびグローバル資本が求めるものは、農畜産物の市場開放、JAの解体と民営化、農業法人化による日本農業の乗っ取り、土地、水資源、と列挙した岩上安身は、「耕作放棄した山や田畑などは誰も買わない、と言われているが、水源地となれば別だ。これから、水が必要な国は増えてくる。グローバル資本も水を手に入れたがる。また、食料供給は、軍事、エネルギー資源などと並ぶ国家の存立基盤。食料の自給をあきらめることは、さらなる米国依存を強めることになってしまう」と、JA改革の先に展開する危険な未来を予想した。

農業を廃業して何をする?──受け皿を考えていない日本政府

 これまでは一体になっていた、資本、国家、国土、国民が、バラバラに分離するような世界において、農家は存続することができるのだろうか、と岩上安身は問題提起し、大企業などが、途上国で広大な土地を得て大規模農業を行う、ランドグラビング(土地収奪)に言及。

 「ウクライナでは戦火の影で、肥沃な国土3200万ヘクタールのうち160万ヘクタールを、カーギルやモンサント、デュポンなどのアメリカ資本が取得してしまった。国外の広大な土地で、現地の安い人件費で、遺伝子組み換え作物を、農薬規制もなく大量生産されたら、国内の生産農家は太刀打ちできない。皆さんは、農業を辞めざるを得ない」と続けた。【IWJテキストスタッフ・関根】

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■岩上安身によるインタビュー記事

 
■関連記事

「マスコミ懲らしめなければ」自民党勉強会での発言に懲りない大西英男議員、過去にはセクハラ野次やNHKへの圧力も 〜「TPPで姿聖域は守られない」!? 岩上安身のインタビューで暴露した自民党の本音とは

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大西英男氏 2

 「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番だ。われわれ政治家には言えない。ましてや安倍首相は言えない。文化人、民間人が経団連に働きかけてほしい」

 自民党若手議員が、作家の百田尚樹氏を招いて2016年6月26日に開いた勉強会で、堂々と「言論弾圧」発言を行った大西英男氏。党から厳重注意処分を受けたにも関わらず、30日には国会内で記者団に再び「マスコミを懲らしめなければ」と語った。

 大西氏は安保法制について、戦争に導く、徴兵制につながるのではないか、という一部報道について「全く事実無根」としたうえで、「そう報道している一部マスコミがある。こういうことを懲らしめなければいけないんじゃないか」「日本の国を過てるような、そういった誤った報道をするようなマスコミに対して、私は広告なんかは、粛すべきじゃないかと個人的には思います」と発言。

 さらに「懲らしめようという気はあるんですよ」と繰り返し、朝日新聞の従軍慰安婦報道について「日本や日本国民の名誉や信頼を傷つけた。これ、いいんですか?」と批判した(※)。

(※)【関連記事】
2015/01/10 「捏造記者」という捏造 「不当なバッシングには屈しない 」~ 岩上安身による元朝日新聞記者・植村隆氏インタビュー

 勉強会でも、また国会での囲み取材でも、大西氏は何度も言論弾圧を煽っている。しかし一方で、「言論弾圧ではない」「言論の自由や表現の自由の規制は全く考えていない」「マスコミ規制をするとか、言論の弾圧をするなんてのは絶対にあり得ない」などと、支離滅裂な言説を繰り返している。つまり、党としては表立ってメディア規制はしないが、スポンサーなど第三者には、自粛を要請している、ということだろうか。これはれっきとした、実質的な言論弾圧だ。

 大西氏はこの、メディアに自粛を呼びかけながら「言論弾圧ではない」と開き直る姿勢を、過去にも繰り返している。

NHKは今後、孫崎享を番組に出すな!? 過去にも言論弾圧

 2013年3月21日、2013年度のNHKの予算を審議する衆議院総務委員会で質問に立った大西議員は、同年1月1日にNHKで放送された「NHKスペシャル2013世界とどう向き合うか」に出演した孫崎享氏の、日中間の尖閣諸島をめぐる領有権問題に関する発言を問題視。「NHKの番組において、正しい認識とは思えないような主張を延々と続けていく。こういうことが許されていいのかどうか」「間違った考えを語る人間を、ひとりでしゃべらせてはいけない」などと発言した。

 「NHKは今後、孫崎氏を番組に出すな」と、あからさまに訴えている。「公正中立」であるはずのNHKに対し、その番組構成に国会議員が介入するというのは、言論弾圧に他ならない。

2013/04/04 「彼は事実に反した発言をしている。けしからん」衆議院総務委員会で名指し批判された孫崎享氏が、自民・大西英男議員に徹底反論 ~孫崎享氏 緊急インタビュー

 岩上安身は同年5月14日、渦中の大西議員に単独インタビューを行い、問題発言の真意を聞いた。すると大西氏は、それは「国会議員の言論の自由の範囲である」と言い放った。他人の言論の自由は制限する、自分の言論の自由は守られる、というのである。

 しかし岩上安身から「自民党の憲法改正草案には、『公共の秩序を害するかどうかで、言論の自由を制約する』とあるが、公共の秩序の線引きは誰がするのか」と問われると、大西氏は「政府は国民から選ばれて作っているので、(政府の判断が)国民が判断した公共の秩序、ということになる」と述べた。

2013/05/14 NHKに対し、孫崎享氏を番組に起用するなと圧力をかけた自民党・大西議員、自身の発言については「言論の自由」 ~大西英男議員インタビュー

 「我々が公共の秩序を判断する」という主張だが、大西氏はとても「公共の秩序」とはいえない、下品な「セクハラ野次」を国会で放っている。

セクハラ野次も…ついつい「本音」が出てしまう大西氏が暴露したTPPをめぐる自民党の「本音」とは

 2014年4月17日、国会の衆院総務委員会で、日本維新の会の上西小百合議員が少子化問題について質問中、大西氏は「まず自分が子供を産まないとダメだぞ」とセクハラ野次を飛ばしたのだ。しかも、当初は「記憶にない」などと否定していた。

 つい本音を喋り、そのあとごまかす、というのが特性なのだろうか。大西氏は岩上安身のインタビューで、TPPに関する自民党の本音も、うっかり暴露している。自民党が掲げた農産品の『聖域』について、「すぐにではなく、いずれ関税撤廃ということ。自民党の多くの議員も同じ考えだ」と語ったのだ。

 ただ、この発言については現在のところ、言い訳も取り繕いも大西氏の口からは出ていない。つまり、この発言については自民党もお咎めなしの、党公認の発言ということになるのではないか。

 本日7月1日18時より、「NHKへの言論弾圧」と「TPPをめぐる自民党の本音」について語った、このインタビューの模様を再配信する。(再配信は終了しました)

【配信はこちら】
http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1

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2015/07/02 IWJ「題名のまだない新番組」第01号(仮)〜岩上安身のニュースのトリセツ+告知コーナー(動画)

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 2015年7月2日(木)16時30頃より、東京・六本木のIWJ事務所から、IWJ「題名のまだない新番組」第01号(仮)を生中継で配信しました。

  • 出演 岩上安身、ぎぎまき
  • 日時 2015年7月2日(木) 16:30頃~
  • 場所 IWJ事務所

■IWJ「題名のまだない新番組」第01号(仮)

■岩上安身によるインタビュー記事

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2016/03/25 「巫女のくせになんだ」――また失言!?自民・大西議員の「職業差別」「女性蔑視」に非難轟々!IWJは大西議員事務所に直撃取材!その弁明とは…?

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※本記事はIWJ会員に毎朝無料で発行している「日刊IWJガイド」2016年3月25日号から転載し、大幅加筆したものです。

 「失言王」の称号獲得へと独走する、自民・大西英男衆議院議員(東京16区)が、また舌禍事件を起こした。

 大西英男衆院議員は2016年3月24日、所属する細田派の総会で、衆院北海道5区補欠選挙の応援で道内の神社を訪れた際の様子を紹介。そこで、「世話を焼いてくれた巫女さんは20歳くらいで『自民党はあまり好きじゃない』と言う。『おい、巫女さんのくせになんだ』と思った」と述べたという。「職業差別」「女性蔑視」ともとれる、いや、そうとしか受け取れない発言で、批判の声が高まっている。

 大西議員は2013年3月、衆議院総務委員会で、元外務省情報局長の孫崎享さんを指して、「間違った考えを語る人間を、ひとりでしゃべらせてはいけない!」と訴え、まるで「NHKは今後、孫崎氏を番組に出すな」と言わんばかりに番組構成に介入した過去がある。

 さらに2014年4月には、同委員会で、質問中の日本維新の会(当時)の上西小百合衆院議員に「子供を産まないとダメだぞ」とセクハラやじを飛ばして謝罪。2015年6月には、自民党若手議員の勉強会で「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番」などと発言し、党から厳重注意処分を受たこともある。

 春に桜が咲くように、大西議員の失言は例年の恒例行事となっているよう。もはや失言癖があるというよりは、本心を口に出せばすなわち「失言」になるような、そんな思考回路のお方なのかもしれない。

 実は2013年、大西議員は岩上安身のインタビューに応じている。その際、大西議員は、TPPに関し、自民党が「守る!」と掲げた農産品の「聖域」について、「すぐにではなく、いずれ関税撤廃ということ。自民党の多くの議員も同じ考えだ」と、うっかり証言してしまったことがある。

 今回の「巫女のくせに発言」を受け、IWJは大西議員事務所に電話取材。「まだ大西本人と話していないのでわからない」としつつも、丁寧に取材に応じてくれた担当秘書は、「私の印象だと…」と前置きしたうえで、「巫女のくせに発言」に対する見解を話してくれた。

 担当秘書は、「『巫女のくせに』というのは、職業差別という意図ではなくて、『巫女さんでも今、自民党を支持していない』という厳しい現状を言いたかったのではないか」と推論を展開。この推論の前提には、巫女だけでなく神主も含めて、神社界の関係者は皆、自民党支持者のはずだ、そうでなければけないという強固な思い込みがある。

 年末年始に、全国の神社で「異変」が起きていたのを覚えているだろうか。初詣客で賑わう境内の一角にはジャーナリストの櫻井よしこ氏のポスターが貼られ、その傍らには、櫻井氏や日本会議が主導する「憲法改正1000万人賛同署名」が置かれていたのだ。IWJはこれを取材し、神社本庁は日本会議と「一心同体」となって、安倍政権の憲法改正を堂々と支援している事実を報じた。

 神社本庁は全国約80000社の神社を包括する団体であると言われている。つまり、大西議員の頭には、「神社で働く巫女であれば、憲法改正を訴える自民党を支持しているだろう」という認識があったのではないか――担当秘書はおそらく、そう言いたかったのだろう。

 担当秘書のコメントに納得する方もいるかもしれないが、苦しい言い訳だととらえる方も多いだろう。大西議員は会合で、「私は神社関係を中心に回ったが、私の世話を焼いた巫女さんが20歳くらいだった。投票が初めてだということだから、ひとつ口説いてやろうと思った」「巫女さんを誘って札幌の夜に説得をしようと思った」などとも発言していたという。

 何度も失言を重ねながら、いまだに同様の発言を繰り返す大西議員。自民党として処分をくださないのであれば、大西議員の失言を追認しているとみられてしまうだろう。党として、厳格な対応が求められる。(原佑介)

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元格闘家・須藤元気氏に直撃インタビュー!「自分が一切書いていない文章を見て気持ちが悪かった」~自民・大西英男議員が「推薦文」を捏造!? 秘書が釈明「通りいっぺんの文章の範囲内」

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 「大西議員の人格的問題だと思いますが、そういう方が代議士をやられていることが日本政治の悲しいところですね」――。

 「(がん患者は)働かなくていい」「まず自分が産まないとダメだぞ」「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい」など問題発言を連発し、お騒がせ続きの自民党の大西英男衆議院議員。今度は、自身のホームページに、元格闘家の須藤元気氏による「推薦文」を許可なく掲載したことが発覚した。5月26日、IWJが大西議員事務所に確認したところ、掲載は2006年頃からだというから、10年以上「無許可」で掲載されていたことになる。

 大西議員は須藤氏の写真を許可なく「推薦人」として利用していただけではなく、須藤氏に何の相談もなく「推薦文」を捏造し、掲載までしていた。「推薦文」は須藤氏自身の言葉のように読めるが、まったくのでっちあげなのだという。須藤氏本人が知人から連絡をもらい、身に覚えのない「推薦人」と「推薦文」の存在に気づき、今回の事態が表沙汰になった。

 須藤氏は5月24日、「僕は推薦文を書いていません。政治家の倫理観はどうなっているんでしょうか?」とツィート。同日、大西議員事務所に真相を確かめるために電話を入れ、メールも送っている。

▲5月24日、須藤元気氏のツィート。下段は大西議員がでっちあげたニセの「推薦文」

 須藤氏の写真と捏造された文章はすでに大西議員のホームページから削除されているが、須藤氏は5月25日、IWJのインタビューに応じ次のように答えた。

 「推薦人としてだけではなく、推薦文が載っていた。あの文章を見て気持ち悪かったです。僕はああいう文章を書きませんし、自分が一切書いてないのに、まるで自分が言っているかのように書かれていて、なんか嫌だなって思いました」

 須藤氏は確かに10年以上前、東京タワーのふもとにある豆腐懐石で開かれた席で大西議員と会ったことがあるという。会ったのはその時一回だけで、言葉もほとんど交わしていない。大西議員からの求めに応じ肩を並べ写真撮影をした一枚が、「推薦人」ページに使用されていた。しかし、須藤氏は当時、大西議員の存在さえ知らなかったのだから、推薦の意志を示すはずもない。



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